大麻を吸うことでイメージされるもっとも一般的なものといえば「ハイになる」ことではないでしょうか。
大麻にはテトラヒドロカンナビノール ( THC )という成分が含まれており、このTHCの精神的作用により「ハイになる」状態になります。
カンナビジオール( CBD )と並び、大麻の2大成分とも言われるTHCですが、現在のところ日本では非合法の成分です。( CBDは日本においても合法)
しかしカナダやアメリカの一部の州をはじめ、国や地域によってTHCは合法であり、世界中で日夜THCの研究が進められています。
ではこのTHCという成分には具体的にどのような効果があるのでしょうか。
メリット・デメリットを解説するとともに、THC合法国の現状もあわせてご紹介します。
THCとは
大麻には100種類を超えるさまざまな成分が含まれています。
それぞれの成分には異なった働きがあり、医療面などでも広く効果を発揮しています。
上記で申し上げたように、大麻に含まれる成分の中で2大成分と言われるのがテトラヒドロカンナビノール(以下THC)とカンナビジオール(以下CBD)です。
日本でも合法であるCBDには精神的作用はなく、摂取しても「ハイになる」ことはありません。
近年、CBDがもたらす健康効果や美容効果が注目を集めており、日本国内でもCBDを専門にあつかうショップが増えてきました。
CBDを含んだオイルで日常のお肌のケアをしたりリラックス効果を得るなど、CBDを日常生活に取り入れる人が続々と増えているようです。
一方、今回取り上げるTHCは精神的作用をもたらします。THCを含む大麻製品の所持は法律で禁止されているため、日本国内においては見かけることはありません。
精神的作用と聞くと一見怪しい響きがありますが、私たちにとって日常的な”アルコール”も精神的作用をもたらす成分の一つです。
「酔っ払う」状態はまさにアルコールによってもたらされた精神的作用です。
大麻を吸って酔っ払うことを一般的に「ハイになる」と言います。しかし基本的に大麻を摂取することで”ハイテンション”になる人は少なく、個人差はありますがお酒での酔っ払いとはまた違うタイプの酩酊状態になります。
THCの効果
では、実際にTHCを摂取することで体にはどのようなことが起こるのでしょうか。
もちろん個人差はありますが、THCの摂取による一般的な症状・効果をご紹介します。
① 恍惚感
気分やムードに変化をもたらします。のんびりリラックスした気分になったり、心地よい甘美な気持ちになると言われています。これはまさしくTHCの精神的作用によるもので、THCを摂取する環境や健康状態などによって気分やムードの感じ方が変化すると言われます。
②口・喉の乾き
口の中がパサパサになり、喉が乾きます。一般的に知られる大麻の効果の一つですがこちらの口・喉の乾きの作用もTHCが大きく関係しています。
③五感の変化
視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚による感じ方が変化します。一般的に普段よりも “鋭くなる”と表現されることが多いです。具体的には「音楽がよく聞こえる」「電球が眩しく感じる」「食べ物がおいしく感じる」などの効果があると言われています。アーティストやクリエイターによってはこの五感の変化がクリエイティビティに関係していると話す人もいます。
④空腹感 (マンチー)
THCを摂取することで上記のように味覚に影響を与えるだけでなく、空腹感をもたらします。一般的に大麻を摂取してお腹がすく状態のことを「マンチー」と言います。この効果により拒食症の症状が改善するなどの症例も見られます。しかし、北米などで日常的に大麻を摂取する人にとってはマンチー状態になりたくないといった要望もあり、近年ではマンチーになりにくい大麻の品種の研究もすすめられています。
⑤カウチロック
カウチロックとはTHCを摂取したあと、ソファーなどで固定されたように動けなくなる状態のことです。(カウチはアメリカ英語でソファーのこと)
ボディエフェクトとも呼ばれ、体が重く感じ、動こうという気力が失われます。しかし基本的に心地の悪い状態ではなく、ある意味リラックスした状態としてカウチロック自体を楽しむ人も多いと言われています。
品種による効果の違い
大麻は植物ですので、一概に大麻と言ってもその中に多種多様な品種が存在します。
大麻の品種は大きく「サティバ系」「インディカ系」そして両方を兼ね合わせた「ハイブリッド系」に分けられます。
それぞれの品種により効果は異なりますが、一般的に「サティバ系」の品種を摂取すると「スッキリする」「爽快感」などがあると言われ、「インディカ系」の品種は「リラックスする」「眠たくなる」などの効果があると言われています。
(ハイブリッド系は両方を兼ね備えています)
THCが合法な国においては、それぞれの効果によって摂取する品種やタイミングを調整しながら、日常に大麻を取り入れている方が多くいます。
例えば、朝起きたときにはサティバ系の大麻を吸い、寝る前にはインディカ系の大麻を吸う、といった形が挙げられます。
THCのメリット・デメリット
THCはメリットとデメリットを兼ね備えており、THCおよび大麻の作用を理解するには双方の理解が必要不可欠です。
ではいったいどのようなメリット・デメリットが研究から明らかにされているのでしょうか。
メリット
摂取時 : スッキリする、リラックスする、恍惚感がある、五感が冴える、お腹がすく など
医療面 : ガン治療、うつ病、ストレス解消、睡眠の質改善 など
デメリット
怠惰になる、カウチロック、お腹がすく、忘れっぽくなる、バッドトリップ など
※バッドトリップとは過剰摂取などで引き起こる症状のことです。
身体的症状として気持ちが悪くなったり、精神的症状として疑心暗鬼や不安感に苛まれます。
時間が経過することで症状はおさまってきます。
またバッドトリップは引き起こるものの、大麻はその他の薬物やアルコール、タバコなどよりも死亡する確率は非常に低いという研究結果があります。
THCが合法な国では
北米を始めとする大麻が合法な国や地域(嗜好目的を含む)においては、街中の至るところに大麻や大麻製品を販売するショップ(ディスペンサリー)が存在します。
大麻の店と言っても怪しい雰囲気などではなく、まるで雑貨屋さんのようなおしゃれな佇まいのショップなども多いです。
ディスペンサリーでは、乾燥大麻(一般的にイメージする大麻の形状)だけでなく、THCやCBDを含んだキャンディーやビスケット、ほかにも喫煙具や雑貨が置いてあるなどバラエティに富んでいます。
大麻のメニューリストには系統や品種、THC・CBDの濃度などが記載されており、各自の好みや症状にあった大麻を選べるよう工夫されています。
また海外では、大麻の品質を競うコンクールなどが開かれており、賞を取った品種などは大きく宣伝されていたりします。
購入する際にはIDチェックがあるため、未成年などは購入することができません。
カナダやアメリカの一部州、オランダなどが大麻を合法化する理由の一つに政府による管理の徹底が挙げられます。
政府が流通する大麻をコントロールすることで、税金の確保だけでなく、大麻の品質・成分をチェックし保証できるというメリットがあります。
まとめ
THCおよび大麻にはメリットとデメリットの両方が存在しており、日本で大麻が非合法である理由にも関係しています。
今後、合法化した国を中心に「大麻が生活へ与える影響」がさらに明るみにが出てくることも予測されます。
大麻を理解する上で大切なことは、「合法な国もあるからOK」「THCは〇〇だからダメ」といった一部の情報で判断するのではなく、メリット・デメリット双方の情報を適切に理解することではないでしょうか。