Woman Holding Marijuana Plant
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近年世界で合法化する大麻。各国の解禁事情と日本での今後の見通しは?

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皆さんは「大麻」と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
「禁止薬物だから絶対ダメ。」「あまり身近に触れる機会がないからよくわからない。」

など、様々なご意見があると思います。ただ、ここ数年、世界では今大麻を合法化する動きが活発化していることが事実としてあります。では、なぜこれまで世界各国で禁止されてきたのか、なぜ合法化するに至ったかなど、本記事では大麻の合法化に関して善悪ではなくあくまで正しい事実をお伝えできたらと思います。

 

世界各国の大麻合法化事情

大麻を合法化している国々

まず、お伝えしたいのが、近年の世界の大麻解禁事情です。2013年のウルグアイの大麻合法化を皮切りに、ここ数年、世界で急激にに大麻合法化、非犯罪化が進みました。現在2020年4月時点で合法化、非犯罪化に踏み切っている代表的な国は2020年時点で20以上はあると言われてます。

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■大麻合法化・非犯罪化の国の一例

【ヨーロッパ】
フランス・スペイン・オランダ・ルクセンブルク・イタリア・チェコ・ポルトガル・ドイツ

【北アメリカ】
カナダ・アメリカ43州(嗜好用:10州、医療用:33州)・メキシコ

【南アメリカ】
アルゼンチン・ブラジル・ジャマイカ

【アジア】
インド・タイ・韓国

【オセアニア】
ニュージーランド・オーストラリア

【アフリカ・中東】
南アフリカ・イスラエル など

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嗜好目的の大麻合法化国(赤=違法、黄色=非犯罪、青=合法)

 

世界で大麻が禁止されてきた理由

では、なぜ大麻はこれまで、長きにわたって非合法薬物という立ち位置であり続けたのでしょうか。そこには様々な理由はあると言われていますが、人種差別やビジネス/利権の問題がもっとも大きく関わっています。そのルーツを辿ると、1937年にアメリカで成立した「マリファナ課税法」に端を発します。これは、実はマリファナの害を防ぐ法律ではなく、大麻製品に課税する法律でした。この法律は、大麻を市場から抹殺することで林業と合成繊維業界を活性化するために制定された法律で、税金を取ることで特定の産業界に補助金を出しているのと同じ効果をねらった法律でした。つまり、大麻に税金をかけることで、大麻製品の価格が上昇し、製紙原料が大麻から木材に移り、繊維原料が、大麻から合成繊維に移ることで、製材業者や合成会社が設備投資を行うようになり、その結果経済が活性化するだろうと言う政府の実験という意味合いでした。その後、このマリファナ課税法が、メキシコでマリファナが麻薬として吸引されているという新聞社の記事を利用して、マリファナを悪の麻薬として取り締まる法律に書き換えられてしまいました。このとき、医療団体は大麻の医療的有用性を主張しこの法律に反対する動きをみせましたが、大麻の取り締まりは一層強化され大麻を処方した医師や大麻を研究した科学者も犯罪人として取り扱われるようになりました。

そこから全世界的に20世紀のほとんどを通じて、マリファナを吸うのは、社会悪であると言う宣伝が行われ続けました。そして、大麻取締法が国連の国際条約になり、世界中で批准され、世界規模で大麻の栽培が禁止されるに至りました。日本でも当時のアメリカ占領軍の指導の下、昭和23年に大麻取締法が施行され大麻の栽培が禁止されることになりました。つまり、大麻は元来「麻薬」としてではなく、「資源」として禁止されるようになったという背景があり、それがいつの間には危険薬物として認知されるようになったわけです。

 

大麻が合法化されるに至った各国の背景

では、世界各国でおしなべて非合法だったはずの大麻が具体的にどのような流れで、合法化に至ったのでしょうか。そこには様々な各国事情と葛藤がありました。本記事では「ウルグアイ」「アメリカ」「カナダ」「タイ」の各国の解禁の経緯について触れたいと思います。

 

ウルグアイの事例

このような大麻合法化に世界で最初に着手したのが、実はウルグアイです。実際に合法化されたのは2013年のことでした。ウルグアイにおいて合法化の背景としてもっとも大きかったのが、マフィアへの資金源の根絶でした。ウルグアイ政府は闇組織への資金流入を無くし、麻薬密売人からの収入を取り上げることで治安がよくなるとの考えました。さらに、質の良い大麻を国民が合法的に製造もしくは取得できるようになれば、安全面や健康面としてもポジティブに働くとも考えました。また、ウルグアイ政府には、大麻と同等もしくはそれ以上に中毒性があり有害なアルコール、たばこが合法である一方、大麻は違法であったという矛盾をを解消したいという思いありました。その結果、世界初の合法化に踏み切りました。もちろん、国内外から賛否あり運用当初は警察の理解不足により誤逮捕といったこともありましたが、次第に問題もなくなっていき、2020年2月時点では、登録ユーザーが薬局の利用者40,563人、個人の自宅栽培8,141人、158の大麻クラブとその4,690人の会員がいることがわかっています。今では一般市民にも浸透しています。

 

アメリカの事例

次にアメリカの事例をご紹介します。アメリカは実は州ごとの合法化事情が違います。なお、州レベルでは合法であっても、アメリカ連邦法では大麻は依然として違法であり、嗜好用と医療用でそれぞれ各州ごとに違っています。州ごとの状況をまとめると以下のようになります。

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【嗜好用、医療用ともに合法】
アラスカ・カリフォルニア・コロラド・・イリノイ・メイン・マサチューセッツ・ミシガン・ネバダ・オレゴン・バーモント・ワシントン・グアム・北マリアナ諸島

 

【医療用のみ合法】

アラバマ(THC含む大麻は除く)・アリゾナ・アーカンソー・コネチカット・デラウェア・フロリダ・ジョージア(THC含む大麻は除く)・ハワイ・インディアナ(THC含む大麻は除く)・アイオワ(THC含む大麻は除く) ・カンザス(THC含む大麻は除く)・ケンタッキー・メリーランド・ミネソタ・ミシシッピ(THC含む大麻は除く)・ミズーリ・モンタナ

ニューハンプシャー・ニュージャージー・ニューメキシコ・ニューヨーク・ノースキャロライナ(THC含む大麻は除く)・オハイオ・オクラホマ・ペンシルベニア・ロードアイランド・サウスキャロライナ(THC含む大麻は除く)・テネシー(THC含む大麻は除く)・テキサス(THC含む大麻は除く)

ユタ・バージニア(THC含む大麻は除く)・ウィスコンシン(THC含む大麻は除く)・ワイオミング(THC含む大麻は除く)・バージン諸島

※2020年5/5時点


アメリカの合法化州マップ(青=合法、緑=医療目的のみ合法、黄緑=医療目的のみ合法・THC制限あり、グレー=違法

 

このように、2018年カルフォルニア州の合法化を皮切りに、2020年現在、40以上の州で合法化が実現されています。これまで多くの州で合法化する理由はいえば、やはり「税金の確保」が大麻解禁の大きな目的としてありました。2019年に医療用大麻が合法化しているニューヨーク州ですが、大麻合法化で見込む年間の税収は約2億5000万~6億8000万ドル(約280億~750億円)にも上ると言われています。アメリカにおいては、超巨大市場として注目され、一気に大麻解禁が広がりました。ただし、大麻の合法化論では、犯罪者が闇市場から利益を得るのを防ぐ効用が挙げられることが多いですが、2018年に合法化したカリフォルニア州の場合、現在も約8割の大麻が闇市場で流通しているとされます。大麻販売を認めていない地域が多いうえ、税金が高額で想定されていたよりも正規の取扱店が少ないことなどが理由とされています。昨年は大麻からの税収が想定を下回ったとされ、合法化の意義が疑問視されていますが、今後も合法化の流れが引き続き続いていくと想定されています。

 

カナダの事例

次に大麻先進国カナダの事例をお伝えします。カナダは世界で2か国目に大麻合法化した国であり、それは2018年のことででした。カナダが大麻の合法化に踏み切ったきっかけは、2015年秋の総選挙でした。現首相で野党・自由党の党首だったジャスティン・トルドー氏が「大麻禁止規制が機能していない(禁止はしているが、実際に吸引されている)」とそれまでの政策を批判し、合法化を公約に掲げて勝利、その結果合法化に至りました。その理由としては、若者が薬物につながりにくくなり、犯罪組織の利益を取り上げることができる、との理由でした。ここでも闇組織への資金流入を取り上げることで税収を増やす狙いがありました。大麻を合法化するまでは、大麻の所持などの処罰には02年に年間10億カナダドル(約850億円)以上かかっていたとも言われます。ただし、若者への使用については厳しく禁じるなど対策は講じながら、大人への使用は合法化していきました。さらに、カナダ政府は年間70億カナダドル(約6000億円)の違法大麻の売り上げが犯罪組織に流れ込んでいると分析し、合法化して政府が流通を管理することで、闇市場を縮小させて税収を上げる道を選のんだのです。

 

タイの事例

最後に、アジアでの事例をご紹介します。アジアの合法大麻市場の予測としても増加見込みで、現在ほとんど前例のない状態から、2024年までに85億ドル(9,193億円)に膨れ上がると予想されています。その中でもタイが2018年に医療用大麻合法化に踏切りました。やはり、ここでも税収増加を主な目的としていて、タイ政府は5年以内に6億6100万ドル(約660億円)の成長が見込まれています。また、アジア諸国でもマレーシアやラオスなど多くの国が関心を示しており、これらの国々が参入してくれば、タイは医療大麻を求める患者向けに医療ツーリズムを展開したり、大麻の製品を輸出したりなど国家戦略としての大麻解禁で莫大な売上を狙っています。

 

大麻が合法化されることのメリット・デメリット

このように、各国の大麻の解禁状況をお伝えしてきましたが、再度大麻合法化のメリットとデメリットをまとめてみます。

メリット

1つ目は前述の通り、税収の増加があります。日本でのお酒やタバコなどの税金が合わせて3兆円を超えるとも言われ、全税収の4%を占めています。もし大麻が解禁されると数兆円規模の税収が見込める可能性があり、国家としては非常に大きなメリットになります。

2つ目は、未来の薬としての活用です。まだまだ実例がなく検証がすすんでいない現状なので、あくまで可能性論になりますが、多くの症状に改善効果があるといわれています。例えば、「線維筋痛症・てんかん・トゥレット症候群・認知症・抗がん剤治療の吐き気・HIV/AIDS・統合失調症・慢性の神経障害性疼痛・潰瘍性大腸炎・Crohn病」などに効果があるかもしれないという研究結果がでています。また、精神高揚させる効果もあると言われ、うつ病などにも効果があると言われています。大麻の合法化で多くの病気を治す可能性を秘めています。また、驚くことに米国の研究では、医療用大麻の合法化によって、2013年の公的医療保障費を1億6,500万ドル(約165億円)も節約できたという報告もあります。

3つ目に、資源としての活用になります。大麻の油は空気を汚さない車の燃料にもなると言われ、繊維は耐久性の高い紙や衣類になり、クリーンな建材や、土に還元するバイオプラスチックの原料にもなります。今注目されている循環型社会を形成するために大麻の利用価値はとても高く、エコにやさしい生活用品の代替となることが可能だと言われています。そして、大麻という植物は成長が非常に早く、極寒の地以外の世界のほとんどの地域で栽培することが可能であり、無尽蔵な資源であるのです。


デメリット

次にデメリットですが、1つ目に、これは一般的に言われる依存症状も含めた健康リスクが挙げられます。大麻の悪影響としては、短期的には「視覚、聴覚、触覚、時間の感覚の変化・思考力の低下・バランス感覚の低下・心臓発作リスクの上昇・記憶と学習能力の低下」などがあり、長期的には「依存・骨密度の減少・肺への影響・妊娠時の影響」などが指摘されています。過去からこういった影響は指摘されていますが、近年では根拠がないものもあるとされたりするので、今後よりきちんとした検証を期待したいです。

また、2つ目に、費用の問題があります。これは酒やタバコ同様に嗜好品には高い税が課せられるので、やはり費用がかさみます。料金としては1gで約$8~$15程度が相場で、1か月で大体10g程度の使用が一般的なので、日本円にすると月大体1万円ほどの支出になるでしょうか。そこまで大きな支出ではないかもしれないですが、吸わなければ年間12万円程度が浮くわけですから、デメリットといえばデメリットなるでしょう。

 

大麻合法化の今後

世界の大麻合法化の潮流(海外では続々合法していってる)

このように、大麻の世界各国の現状を事例を交えてお伝えしました。これらの事例から少なくとも世界では大麻を合法化していく流れは加速すると見込まれています。特にアジアではまだ本格的な前例がないことから税収の面などで大きな成果を上げる可能性を秘めています。アジア諸国でも合法化していけば、日本でも解禁される未来があるかもしれないです。ただし、まだ合法化して歴史も浅く、健康面など今後新たな報告があるかもしれないし、思ったほど影響がないかもしれない。いずれにしても今、歴史が変わる潮目にあることはたしかですし、今後も大麻から目が離せないですね。

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