麻を有毒な土壌で育てると土を浄化し、更に多くのCBDを作り出すことが研究で発見!
大麻サティバ植物は、ストレスを受けるとより多くのカンナビノイドを生成します。但し、植物へストレスをかけすぎると、その分リスクがあります。例えば、花を作るのは雌の大麻植物ですが、ストレスを受けた植物は、雌雄同体に変化する傾向があり、カンナビノイドを含んだ芽ではなく、種子と花粉を生成してしまいます。
しかし、ジャーナルPLoS Oneで発表された最近の研究では低レベルのTHCヘンプ植物が有毒重金属で汚染された炭鉱の土壌でストレスを受けながら成長することによって、ヘンプ植物は豊富なCBDを生成することを発見しました。
そして、その現象はTHC濃度が高まることなく、CBD濃度を高めることができます。これは多くの国で設定されている、THCレベル0.3%未満という、麻植物の合法基準を守らなければいけないヘンプ農家にとって非常に重要になります。
有毒な土壌がきれいな大麻の花を生み出す
石炭採掘場で栽培された大麻植物が吸収する重金属は、成熟した植物の葉に表れ、重要なことに、重金属は、CBDを含む貴重なカンナビノイドが集中している花の芽には現れなかった、と研究者は語りました。
ハリスバーグのペンシルバニア州立大学の生物学教授であり、研究の主要著者の一人であるサイラム・ラドラバトラは、「葉への金属の取り込みと土壌からの除去は見られたが、花の芽には金属は見られなかった」と述べました。
大麻は土壌を修復する優れた植物
土壌から有毒物質を除去する大麻の能力(ファイトレメディエーションと呼ばれる手法)はよく知られています。大麻のファイトレメディエーションは、ウクライナだけでなく世界最悪の事件の一つとして知られている、チェルノブイリ原子力発電所の周辺地域から放射性汚染物質を除去するために使用されており、アメリカの大麻活動家は、コロラド州ロッキーフラッツの元米国核兵器工場を取り巻く土地からプルトニウムを除去するために麻を使用することを望んでいます。
チェルノブイリでは、大麻は放射能の優れた修復剤であることが証明されましたが、研究者は、ファイトレメディエーションに関する技術を完成させる為に未だ努力を続けています。
麻栽培の新しい分野を開く
最近のPLoS Oneの調査結果は、カンナビノイドの生産が「鉱山の土地の土壌条件によって著しく影響される」ことを示す最初の証明です。また、この研究は進行中のCBD成分による麻のブームで利用可能な土地を探している麻栽培者にとって、新しい機会を提供します。
既存の食料生産と郊外開発の侵食により農業生産面積が制限されていますが、麻は、現在毒性があり農業に適さないと考えられている土地を使用して栽培することができます。
ヘンプ植物は有毒な重金属の一部を除去し、それにより以前は「役に立たなかった」鉱山の土地の土壌の可能性を広げます。また、ヘンプはきれいな土壌で栽培されるよりも多くのCBDを生成するため、問題のある土壌で栽培することで経済的なメリットがあります、とラドラバトラは言いました。
植物は死んでしまうと予想していた
「この種のものが実際に機能することを見て、私たちは非常に驚き、興奮しました。私たちが想像していたのは、すべての麻の植物が死んでしまうということでした。正直なところ、それが私たちの予想していたことです。」とラドラバトラは付け加えました。
「鉱山の土壌の唯一の利点は、その土壌が現在何もしていないことです。麻はこの土壌で成長し、土壌を修復できるので、その後、貴重な食用作物を育てることができます。」
6種類の麻
研究者は、ペンシルベニア州農業省から産業用麻の6種類の品種を入手しました。これらの栽培品種のうち3種類は、繊維と種子のみの栽培に推奨され、他の3種類はCBDの原料として推奨されている品種になります。研究者たちは、2種類の汚染土壌と2種類の商業土壌でそれらを栽培しました
鉱山の土壌に存在する汚染物質には、ニッケル、カドミウム、鉛、ヒ素、水銀が含まれていました。そして、すべての植物は、0.3%未満のTHC(麻の最大許容THC含有量)および2%以下のCBDを生成すると予想されていました。
温室と屋外栽培でテスト
研究者は、温室条件と屋外で、各土壌の各植物を栽培しました。彼らは、ヘンプの品種ごとにそれぞれ3種の12~18株で各品種を栽培し、研究全体で合計132株になりました。
鉱山の土壌で栽培されたヘンプは2.16%と2.58%のCBDを生産しました。このレベルは生産者にとってあまり魅力的ではありませんが、ある一つの品種では土壌栽培の屋外および温室条件によってそれぞれ生成されるCBD含有量1.08%および1.6%を超える「大幅な増加」がありました。
一方で、1つの品種が0.3%の制限を超えてしまうTHCを過剰生産してしまい、商業的な収穫である場合、廃棄しなければならない作物になりました。
植物になぜ、この現象が起こるのか?
重金属は植物の遺伝的反応を引き起こし、後のカンナビノイド生産に関わる酸の過剰生産を引き起こすようです。
「特に、カンナビジオール酸シンターゼ(CBDAS)は、鉱山の土壌で18倍高い発現を示しました」と研究者たちは書いています。また、「麻は、高重金属条件下で、CBDASおよびOAC(olivetolic acid cyclase) 遺伝子発現の増強の結果として、総CBD含有量を増加させました。」と付け加えています。
この大麻は消費できますか?
このような素材から調達したCBDに市場が関心を寄せるのは、別の問題となりそうです。
カリフォルニアに拠点を置くFarmtivaのCEOであり、1980年代からヘンプ農業とヘンプビジネスに関与しているHemp Industries Associationの共同設立者であるクリス・ブーチャー氏が監視している、プロジェクトCBDなどのCBD擁護団体は、この産業用ヘンプを原料とするCBD製品に注目しています。
「市場の主要な部分は、おそらく有毒な土壌で栽培されているヘンプを少し恐れているでしょう。それが私のジレンマです。」とブーチャーは言いました。
「大麻産業には多くの反麻CBDの人々がいます。」と彼は観察し、たとえば、ペンシルベニアの鉱山地やコロラドの原子力発電所などで栽培されている麻からCBDを抽出していると言えば、その会社の評判は深刻な打撃を受けるかもしれません。
しかし、必ずしもそうなる必要はありません。PLos Oneの研究で記録されているように、植物は重金属を花に含まずに吸収できます。そして残された土地は、食物や他の作物の生産ができるきれいな土壌になること加えて、シードブリーダーが保証している濃度よりも多くのCBDを抽出できます。
「この結果は注目するに値します。ニッケル、ヒ素、および非常に多くの毒素を高レベルで維持できる植物は多くありません。大麻は多くの特性を備えた驚くべき植物です。」とラドラバトラは述べました。